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生物学原理 ⑲

2024年1月6日

 

Ricketts の生物学原理(臨床思考のバックボーン)

 

臨床者が依拠する原理の質、種類の豊富さ、組み合わせ方が、実践を通してそのひとなりの Philosophyを培う.

Bioprogressiveのきわだつ特徴は、生物学原理を自在に援用した最大非侵襲・最大成果を旨とする、患者個々人に合わせた臨床思考だ. 時代ごとに現れる新技術・新知見を生物学原理から精査し、それらをどんどん呑み込んで発展する可能性は無限だ.

Core valueは、“First select procedures that will make money and still produce the highest quality possible”.

*アルファベット順 (生物学原理 ⑱の続き)

 

72. Utilize the buccal plane True buccal plane、機能咬合平面ともよばれる。厳密には弯曲を有する。第一大臼歯から小臼歯、乳臼歯が噛み合う面(二次元平面では「線」と表現)である。上下切歯切端の位置は、口唇のバランスや嚥下機能の影響を受けるため、Bioprogressiveでは採用しない。

 

73. Utilize Xi pont 下顎孔の位置に相当するXi pointの活用。下顎体軸(corpus axis)、下顎頭軸(condylar axis)、Oral gnomonの3つの計測で用いられる。セファログラムの分析項目のなかで、Xi点ほど計測項目が集中する場所はほかに見当たらない。V3が下顎骨に侵入する場所であり、蝶下顎靱帯が下顎小舌に付着することもその定位性に符合。正常咬合者の場合は成長が概ね終了するときに、True buccal planeを後方へ延長した線は、Xi point近傍を通過する。

 

74. Vertical growth (chin, mid-face) 難症例の特徴のひとつ。日本人はほかのモンゴロイドや Caucasian に比べて、(統計学的に)垂直成長の傾向が認められる。鼻閉・アデノイド・軟食の影響、あるいは開口癖や形質遺伝上の特徴かもしれない。一般論としては、垂直成長をもつ患者において、歯牙のサイズが大きく歯列の深さが不足し、上下口唇の長さが十分でない場合、小臼歯抜歯の比率は否応なしに高まる。Anchorageの強化だけではなく、さらにすすんで顔貌の改善を目的とした口蓋TADによる上顎大臼歯の圧下移動の試みが増えた理由のひとつでもある。

 

75. Vertical growth (ramus, condyle) “Suspender(側頭筋)” が付着する下顎枝内側の側頭筋稜は、下顎骨を吊り下げる支点となる。下顎頭と筋突起の垂直方向の成長にともなって、オトガイは前へ押し出されるように安定して成長する。したがって下顎頭と筋突起全体の垂直成長は、予後の予測、難易度の判定、円滑な治療進行の指標となる。

 

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