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生物学原理 ⑱

2023年12月29日

Ricketts の生物学原理(臨床思考のバックボーン)

 

臨床者が依拠する原理の質、種類の豊富さ、組み合わせ方が、実践を通してそのひとなりの Philosophyを培う.

Bioprogressiveのきわだつ特徴は、生物学原理を自在に援用した最大非侵襲・最大成果を旨とする、患者個々人に合わせた臨床思考だ. 時代ごとに現れる新技術・新知見を生物学原理から精査し、それらをどんどん呑み込んで発展する可能性は無限だ.

Core valueは、“First select procedures that will make money and still produce the highest quality possible”.

*アルファベット順 (生物学原理 ⑰の続き)

 

67. Three types of abnormal swallowing ①Habitual / Atavistic、②Glossoptosis / Transitory、③Adaptive / Secondaryの異常嚥下3種類。成立原因にちがいがある。①;嚥下の初動位置からして舌と舌骨が高位、しかも舌全体が前方に位置し、しばしば下顎切歯の歯間部にはスペースが観察される。②;舌や舌骨の位置がC5, C6 levelと低く(*正常はC3-4あたり)舌全体が後方に位置し、嚥下のときに舌は一気に突出する。下顎切歯は叢生し、勢い余った舌に拮抗するように、嚥下時に異常な口唇閉鎖が顔貌からは観察される。③;②に舌の位置と動きは類似。しかし①②のように胎生期における舌の降下の問題ではなく、慢性的なアレルギー性鼻炎、咽頭扁桃の肥大により、開口癖や口呼吸へ舌が二次的に適応した異常嚥下。臨床でもっとも頻繁に目にする。口唇にも異常な動きが観察され、ふだんは口を開いたまま、下唇が肥厚し、乾燥によるひび割れまで認められることがある。①の是正訓練は舌骨を下げること(*あえて嘔吐する動作を習得する)、②③は舌骨を挙上し舌の後方を口蓋に密着させ、なおかつ舌の前方は下顎切歯の舌側に触れる状態を維持し、嚥下時にしっかりと歯をかみ合わせる集中訓練 (Ricketts 1, 2, 3 Exercise)。原因をなした扁桃の肥大や鼻閉はあらかじめ耳鼻科専門医に対処してもらう。Adeno-tonsil ectomyやトリクロール酢酸塗布法などが一般的。

 

68. Unlocking of the malocclusion 回復のポテンシャルの活性を念頭に置いた治療、もしくはそれに準じた処置。内包力の賦活と表現しても差し支えない。自力回復が望めないところに関しては、積極的に歯を動かしたり、若年者ではorthopedic alterationを計画する。Bioprogressiveの特徴をなすSequencial treatmentとは、段階的なunlocking処置と換言できる。なお機能上のunlocking、とくに呼吸の問題については、ENT specialistの正確な診断と加療が必要になる。

 

69. Utilize A-Po plane ①下顎切歯の角度と②切端の前後的な位置を、上下顎の相対的な関係(*Point AとPogonionを結ぶ線)を基準に判断すること。A-Po planeは下顎切歯の異常を判断したり治療目標を設定するときの優れた指標だ。顔面平面や下顎下縁平面を参考にする方法もあるが、下顎切歯は上下顎の相対関係でバランスを取る性質がある(*Compensationの原理を参照)ので、相対基準としてのA-Po planeを、Bioprogressiveでは採用する。

 

70. Utilize prefabrication E. H. Angle の最大の貢献は既製品による治療の簡素化された治療システム。患者ー術者双方の疲労と労力を軽減し、同時に治療の質の向上が図られた。個別化医療の実現にも、製品の規格化と既製品のさらなる活用は欠かせない。

 

71. Utilize pterygoid point V2(第5脳神経第二枝: 上顎神経)が頭蓋基底から翼口蓋窩へ出る場所(Pt point)。正確には正円孔が翼口蓋窩へ開孔するところ。ここは顔の成長中心だ。現在のオトガイの位置を見積もり、症例の難易度を判定し、重ね合わせでその成長中の変動を知るなど、Pt pointの発見を契機に、Ricketts’ Bioprogressiveは大きく前進した。

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