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生物学原理 ⑮

2023年12月26日

 

Ricketts の生物学原理(臨床思考のバックボーン)

 

臨床者が依拠する原理の質、種類の豊富さ、組み合わせ方が、実践を通してそのひとなりの Philosophyを培う.

Bioprogressiveのきわだつ特徴は、生物学原理を自在に援用した最大非侵襲・最大成果を旨とする、患者個々人に合わせた臨床思考だ. 時代ごとに現れる新技術・新知見を生物学原理から精査し、それらをどんどん呑み込んで発展する可能性は無限だ.

Core valueは、“First select procedures that will make money and still produce the highest quality possible”.

*アルファベット順 (生物学原理 ⑭の続き)

 

57. Root rating scale 歯牙移動における歯根単位㎟あたりの適正応力を、歯牙の種類とその移動方向にまとめた図。作業仮説とはいうものの、臨床と基礎研究(三浦、1971)によく整合する。歯根面積は、歯牙の移動方向におけるシルエットから計算されている。歯根の形状と大きさは、G. V. Black(1836-1915)のtext bookを参考にしたので、丸味を帯びて歯根が短い日本人では、適宜、応力を減じる(Root rating scaleの値から1/2-2/3、若年者では更に弱める)。血流が豊富な海綿骨中の移動の値が示されている。皮質骨中の移動には、応力を1/2へ減じる。一方、orthopedic alterationに際しては、あえて歯根を皮質骨へ当てて動かさない硬化変性状態に近づけるため、応力を倍増する。Ricketts seminarの中で、生徒に対して、各歯牙の移動方向における数値(gram-force値)の暗記が求められた数少ない原理のひとつ。

 

 

58. Select the most appropriate therapy 個別症例に対してもっとも適切な治療法を選択すること。特定の「術式(治療テクニック)」へ患者を嵌め込む治療は、患者側の「不利益」に照らせば本末転倒である。Rickettsがその愚をとくに強調したほどだ。矯正歯科治療には、異なるアプローチや方法がひろく存在し、それらのすぐれた点を呑み込む柔軟性も同時に指摘している。治療目標に到達するには幾通りものコースがあり、時宜に応じて最適な選択をする。

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